第5話「相続人不在の空き家対策」

近年、空き家に関する問題が全国的に注目されています。

平成29年7月、空家等の適切な管理及び活用に関する条例が富山市においても策定されましたが、その条例や特措法においても全く歯が立たない空き家が存在しています。それは、「相続が放棄された、もしくは法定相続人不在の空き家」です。

そのような空き家などの相続財産は「相続財産法人(相続人がいることが明らかでない場合に、自動的に相続財産が法人化したもの)」となります。本来、相続財産というものは、相続財産管理人がいて初めて機能するものですが、相続財産管理人になるべき利害関係者等がいない場合、その相続財産は、管理する人間が不在のまま法人として宙を漂う存在になるのです。

法定相続人に該当するのは、配偶者や子供、親がいない場合は兄弟姉妹および代襲相続人までとなっていますが、それらの親族がおらず最も近い親戚が従兄といった被相続人は多数います。そのため、この問題は今後ますます深刻になることが予想されます。

裁判所に認めてもらうことで、法定相続人に該当しない人でも相続財産管理人になることはできますが、わざわざ放棄された不動産に近づく人はそう現れません。私は、この問題の解決に向け、何か情報がないものかと法務省と国土交通省の担当者にヒアリングを行いました。その時に「検察官の職権にて相続財産管理人を選任することができる」ということを知り、行政当局がそれを進めてはどうかと考え、平成30年3月議会において質問をしました。しかし、市長の見解では「法律上、そのような役割は検察官にあるかもしれないが現実的ではない」との答弁を得ることしかできませんでした。

それならば、「富山市において福祉に関わる福祉保健部が、親族不在の老人世帯に対し何らかの情報提供をすべき」と提案しましたが、現在のところ福祉保健部にはまだ動きがありません。

そして令和元年10月になり、「法定相続人不在の空き家については、市役所が家庭裁判所に申し立てを行い財産管理人を立てる」という富山市の新たな政策が発表されました。

これは空き家問題解決に向けた大きな第一歩であり、歓迎すべき政策であることから、私は12月議会において当局の考えを改めて確認しました。しかしそれは、結局のところ、土地が売れる見込みがあるということが条件になるものであり、市街化調整区域の集落の場合、その条件を果たすのは非常に厳しいです。

こういったところにも「線引き都市計画」の影響が出てくるのです。まだまだ問題解決までには長い道のりですが、今後も「空き家」と「線引き都市計画」の問題を並行して考え、解決に向けて進んでいきたいと思っています。

第4話「農振除外の手続き期間を大幅短縮」

昭和46年に富山県において導入された「線引き都市計画」ですが、その配置割りにより人口減少に大きな影響を受けた地区があり、私が住む打出集落もそのひとつです。

「線引き都市計画」の問題は、富山市全域の発展の偏りの原因だと思っています。この問題を棚上げしたまま、種々の政策が、「人口当たり」とか、「利用率」で語られることに私は異論を唱えています。

「市街化調整区域」内の農地を住宅用地として転用する為には、「農振除外」という手続きが必要になります。しかし今までは、その手続きに約10ヶ月もかかっていました。

平成30年12月議会における、この問題についての私の一般質問に、富山市の森市長は共鳴し、積極的な改正へ向けた取り組みを約束してくれました。その結果、現在、富山市では約6ヶ月で「農振除外」の手続きが可能になっています。これは近隣の県庁所在地と比べ、圧倒的な速さです。

第3話「市街化調整区域の悪影響からの解放」

皆さんは、「市街化調整区域」というものをご存知でしょうか?

「市街化調整区域」とは、市街化を抑制する地域のことで、人が住むために必要な一般的な住宅や商業施設などを建築することが原則として認められていない区域のことです。

写真は、私の事務所に掲示している昭和46年に決定した、一番最初の富山市の都市計画図です。この頃から約50年の間に、「市街化調整区域」から「市街化区域」への線引き見直しは多少あったものの、その線引きはほとんど変わらず、本来積極的な農業投資が行われるはずだった「市街化調整区域」は、ころころ変わる農業政策によりその恩恵もなく、規制ばかりを受けて廃れてきました。

この「線引き都市計画」に関する問題は本当にたくさんあります。私の議員活動において「市街化調整区域の悪影響からの解放」は大きなテーマで、今後、数話に渡り、この問題と私の取り組みを紹介していきたいと思います。