第8話「慰霊碑・忠魂碑の管理」

戦没者を追悼する為に建立された慰霊碑、もしくは忠魂碑と呼ばれるものは全国で1万3千基以上あると言われていますが、戦後75年を迎えた今日、その管理が不良、もしくは不明であるという問題が全国的に発生しています。

平成26年度、国はこの問題について各自治体に調査を依頼しましたが、約半数が管理不調や管理状況不明で、富山県内においても、約3割が管理状況不明という調査結果が出ています。この調査結果について福祉保健部に確認したところ、富山市には51基の民間建立による忠魂碑があり、その内、碑の状況と管理状況ともに不良のものが2基あることがわかりました。そして、その内の1つは小学校のグランドにあったのです。私は、この小学校のグランドにある忠魂碑を視察してきましたが、大変立派な忠魂碑であり、おそらく適切な管理状態まで復元するには高額な予算が必要であると感じました。

国では、この民間で建立された忠魂碑の移設等事業費の補助施策を用意し、各自治体へ打診していますが、現在のところほとんど実績はありません。富山市においても、現時点ではその事業を施策化していません。「補助金額が少ないこと」、「そもそも忠魂碑を移設・管理しようとする主体が不明確(もしくは不在)」であることが原因となり、当事者として市役所に相談に来る人がいないのです。

私は、この問題の当事者そのものが明確でない上、今後ますます過去のことについて理解する人が減ってくることを危惧し、令和2年9月の議会でこの問題について質問をしました。このような問題についても、市議は率先して取り組んでいくべきと私は考えます。

第7話「準用河川 古川の改修実現」

富山市四方地区を流れる準用河川「古川」は、農業排水の役割もあり、地域の皆様によって藻引きが行われています。藻引きとは川の中で繁茂する草を刈ることで、川の流れを良くして田の排水を良くするという、まさに農家魂のなせる大変な作業です。

農家の方達がそこまでして管理している河川岸ですが、ひどくボロボロになっており、この整備は地域の悲願でした。この問題に関して、私は日頃より建設部と多くの議論をしてきましたが、予算的に大変厳しいという実感を持っており、せめて市長の耳に入れておいて印象付けておこうという思いから、平成29年9月の定例会で言いっぱなしの質問を行いました。その質問に対し、市長から前向きな答弁を頂き、数多い河川改修整備の中でも、優先順位が上がった手応えを感じました。

そして令和2年度、建設部において古川に河川改良の箇所付が行われました。設計業務も無事落札され、今年度中に設計が出来上がる予定です。

第6話「四方チャレンジ・ミニ企業団地の再編」

ある時、私の地元である四方の町内会から、「企業団地の従業員駐車場がなくて困っている。チャレンジ・ミニ企業団地の空いているスペースを貸して欲しいのだが、何とかならないものか。」と相談を受けたことがありました。

私が、この相談について所管する工業政策課に掛け合ったところ、「駐車場として利用することは、条例違反となる恐れがあることから無理だ。」と回答がありました。しかし、到底納得できる回答ではなかったため、平成30年3月定例会にて、市長に直接この問題について質問をしました。この質問に対して市長は、「条例の解釈を変えて、柔軟に対応する」と答弁してくれました。これには所管する商工労働部も驚いたそうです。

前述したチャレンジ・ミニ企業団地とは、新たに独立開業しようとする方を援助するための施設として設置されたものですが、その後、その動向を見守るも活用に乏しく、今後の活性化を考えれば、企業団地の用地売却を含めた再編も視野に入れるべきではないかと考えるようになりました。

空いているスペースを駐車場として利用することを認めてもらったばかりで気が引けましたが、1年後の令和元年6月議会で、「チャレンジ・ミニ企業団地の在り方について再検討すべき」と質問を行い、当局の前向きな回答を引き出しました。

そして令和2年9月議会で、企業団地の用地売却が承認され、市有地の一部が売却されました。これから和合地区随一の企業団地の再編が行われます。私はここに新たな雇用と活気が生まれることを確信しています。

第5話「相続人不在の空き家対策」

近年、空き家に関する問題が全国的に注目されています。

平成29年7月、空家等の適切な管理及び活用に関する条例が富山市においても策定されましたが、その条例や特措法においても全く歯が立たない空き家が存在しています。それは、「相続が放棄された、もしくは法定相続人不在の空き家」です。

そのような空き家などの相続財産は「相続財産法人(相続人がいることが明らかでない場合に、自動的に相続財産が法人化したもの)」となります。本来、相続財産というものは、相続財産管理人がいて初めて機能するものですが、相続財産管理人になるべき利害関係者等がいない場合、その相続財産は、管理する人間が不在のまま法人として宙を漂う存在になるのです。

法定相続人に該当するのは、配偶者や子供、親がいない場合は兄弟姉妹および代襲相続人までとなっていますが、それらの親族がおらず最も近い親戚が従兄といった被相続人は多数います。そのため、この問題は今後ますます深刻になることが予想されます。

裁判所に認めてもらうことで、法定相続人に該当しない人でも相続財産管理人になることはできますが、わざわざ放棄された不動産に近づく人はそう現れません。私は、この問題の解決に向け、何か情報がないものかと法務省と国土交通省の担当者にヒアリングを行いました。その時に「検察官の職権にて相続財産管理人を選任することができる」ということを知り、行政当局がそれを進めてはどうかと考え、平成30年3月議会において質問をしました。しかし、市長の見解では「法律上、そのような役割は検察官にあるかもしれないが現実的ではない」との答弁を得ることしかできませんでした。

それならば、「富山市において福祉に関わる福祉保健部が、親族不在の老人世帯に対し何らかの情報提供をすべき」と提案しましたが、現在のところ福祉保健部にはまだ動きがありません。

そして令和元年10月になり、「法定相続人不在の空き家については、市役所が家庭裁判所に申し立てを行い財産管理人を立てる」という富山市の新たな政策が発表されました。

これは空き家問題解決に向けた大きな第一歩であり、歓迎すべき政策であることから、私は12月議会において当局の考えを改めて確認しました。しかしそれは、結局のところ、土地が売れる見込みがあるということが条件になるものであり、市街化調整区域の集落の場合、その条件を果たすのは非常に厳しいです。

こういったところにも「線引き都市計画」の影響が出てくるのです。まだまだ問題解決までには長い道のりですが、今後も「空き家」と「線引き都市計画」の問題を並行して考え、解決に向けて進んでいきたいと思っています。